ガラス作家・市川知也が手がけた『びわこっぷ』

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ガラス作家・市川知也が手がけた『びわこっぷ』
市川知也

ガラス作家

市川知也

びわこっぷ 縦タイプ

流れるような縦のカットが美しく、繊細で雅な女性的なグラスです。

艶やかな質感で、視覚・触覚・滑らかな口当たりが楽しめます。

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びわこっぷ『愛』グラスとは?

コップの底に琵琶湖のマークを施した「びわこっぷ」。

こちらは『愛』グラス(愛と書いて“いと”と読ませます)というシリーズです。

中島みゆきさんの楽曲「糸」の歌詞に感銘を受け、誕生した作品。

糸のように流れる模様は、お酒を注ぐと立体感をもって美しく映えます。

機能面ではLサイズで使い勝手がよく、正式な耐熱ガラスではありませんが、熱湯に近い温度にも耐えられます。

*電子レンジ、食器洗浄機の使用は不可です。

ガラス作家 市川知也

・生い立ち。

滋賀県の南側『甲賀忍者』や『信楽焼』などで有名な甲賀エリアの甲西町(現在の湖南市)に生まれました。

滋賀と言えば琵琶湖、と連想すると思いますが、甲賀という場所は琵琶湖まで車で1時間近くかかる山々に囲まれた場所にあります。

緑豊かな自然が広がり、東海道沿いで京都にも近いので歴史的にも豊かな土地です。

国宝や重要文化財のある寺社仏閣も多く、歴史や伝統的な文化に触れながら育ちました。

・ガラスの道へ

大学卒業と同時に、ガラス工場で職人見習いとなりました。

ガラスの道を選んだ理由は勿論「好きだったから」ですが、「自分で決めた道からは逃げられない」という、自分を追い込む意味もありました。

幼いころからビー玉が大好きで、職人という響きにも憧れを抱いていたので、希望と熱意の下、ガラス職人を始めました。

・ガラス作家の道へ

ガラス工場で2年勤務した後、日本を代表するガラス作家に弟子入りし、修業を続けました。

一流のガラス職人を目指し研鑽の日々を過ごしていましたが、技術が身につくにつれ“自分の作品を作りたい”という気持ちが大きくなって行きました。

様々な葛藤はありましたが、ガラス作家になる事を決意し、ガラス作家の育成に力を入れている富山県へと移住しました。

・酒器制作の道へ

移住するまで、富山県の事は全く知りませんでした。

しかし、推しの銘柄や贔屓の酒蔵を熱く語る人が多く、「富山県でお酒といえば日本酒」という事を知るのに時間はかかりませんでした。

そういう土地柄なので、日本酒の器を制作する機会は直ぐに訪れました。

・初作品でのショック

初めて出来上がった酒器。「先ずは自分が」と期待と共に試飲したのですが、何の感動も起こらず、全くの普通でした…。

少しくらいは美味しく感じられるのではと想像していたので、ショックは大きかったです。

しかしこれが、日本酒を美味しく味わえる酒器作りを目指すきっかけになりました。

・作る楽しさ、使う楽しさ

最初の頃は「酒器はこうあるべき」という固定観念に囚われていました。

出来上がったものは理にかなったサイズや形なので、それなりには美味しく感じるのですが、「楽しさ」を感じるまでには至りませんでした。

試行錯誤する中で、型にはまらず自由な発想が「楽しさ」を生み出す事を発見し、それからは「美味しく」よりも「楽しい」酒器を心掛けています。

ガラスの透き通る美しさが日本酒の美味しさや楽しさを高めてくれると感じており、その透き通る美しさを表現する感性は、生まれ育った甲賀で育まれたと感じております。

https://ienomi.tokyo/column/biwa_cup/

WRITERこの記事を書いた人

市川知也

ガラス作家

市川知也

滋賀県出身。
大学卒業と同時にガラス職人の道へ進み、大阪の町工場にてキャリアをスタートさせる。現代の名工・黒木国昭のもとで修行を重ね、2013年より富山ガラス工房所属。空間との調和をイメージしたガラス作りに励む。... もっとみる