20代のメンバーだけで造ったお酒『三代目 二才の醸 純米吟醸』

飲んでみた!おすすめ日本酒レポート
20代のメンバーだけで造ったお酒『三代目 二才の醸 純米吟醸』
家飲み編集部

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今回は茨城県・青木酒造さんのちょっと変わった日本酒『三代目 二才の醸(にさいのかもし) 純米吟醸』を紹介します。なんと、このお酒はすべての製造工程を20代の人たちが担当しているんです。「60歳になって一人前」ともいわれる日本酒造りの世界で、酒米の収穫から瓶詰にいたるまですべての工程を経験の若い20代が担うのは異例。もちろん杜氏の青木佐知さんも20代です。

引き継がれるバトン

商品名が『三代目 二才の醸 純米吟醸』であるように、このお酒が「三代目」なのには理由があります。実は『二才の醸』は2014年に埼玉県・石井酒造の石井誠さんが作ったブランドです。当時20代だった石井さんが、若年層に日本酒が飲まれない現状に「同じ20代が造っているものなら興味を持ってもらえる」と考え立ち上げたブランドでした。その後、石井さんが30歳を迎えたことから、後輩である新潟県・宝山酒造の渡辺さんにブランドを継承。そして渡辺さんも30歳になったため、三代目として青木酒造の青木さんが継承者になったのです。

バトンを引き継いだ青木さんは、SNSを駆使してプロジェクトメンバーを募集。大学生を含む集まった30人以上のメンバーともに『三代目 二才の醸 純米吟醸』を造り上げました。お米の収穫から瓶詰まで、すべてこのメンバーで担当。そんな若い世代の日本酒への熱い想いがこもった一本となっています。

香りと味わい

使用しているのは茨城県の食用米「ふくまる」とのことです。あえて食用米を選ぶところも斬新ですよね。

洋ナシを想わせる、とてもフルーティーな香り。熟れたバナナのようなふくよかな甘い香りも感じ取れました。

アタックは柔らかいです。酸味と辛味はほとんど感じず、甘みと旨味主体の構成になっています。余韻も滑らかで、非常にバランスのいい印象を受けました。

日本酒の未来に向けて

(左から初代石井さん、二代目渡辺さん、三代目青木さん)

20代の20代によるお酒。最近は日本酒を飲む若年層も増えてきていますが、酒造りの現場で活躍する20代の方はまだまだ少ないです。そんな彼らが手を取り合った後世に渡るプロジェクトなんて応援したくなりますよね!学生によるラベルデザインや、食用米の使用、酵母の表記など、現代的なところも魅力です。青木さんは今年30歳を迎えるとのことなので、来年の『二才の醸』は「四代目」となります!次作はどのような一本になるのでしょうか?毎年楽しみにしたいですね。

https://ienomi.tokyo/column/nisainokamoshi/

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お酒が大好きなライター、アーティスト、編集者、イベンター、フードジャーナリスト、リカーショップスタッフなどなど、お酒を愛して止まない「イエノミスタ」が結成した「家飲み編集部」。それぞれの家飲みの風景や、お酒のセレクト、おつまりレシピなどをご紹介します!... もっとみる