杜氏インタビュー!超久限定酒の裏話 ー新杜氏だからできた、新しい味わいの超久ー
蔵元からの便り中野BC株式会社 杜氏
武田 博文
限定酒「超久」のさらに“限定酒”
和歌山県の酒蔵・中野BCは、創業以来「長く久しく愛される酒でありたい」という思いから作られた銘柄「長久」を販売してきました。その長久を“超える酒”を目指して今から約20年前に生まれたのが「超久」ブランド。当時としては珍しい-5℃の氷温貯蔵庫にて熟成させた純米吟醸酒は、深みのある米の旨味が特徴で、多くの日本酒好きを唸らせる味わいでした。今も尚、超久は沢山のファンに愛される、代表銘柄となっております。
そんな「超久」ブランドに新たな風が舞い込んだのは3年前のこと。
29BYから始まった、「超久」の“限定酒”。それは今までの超久の概念を覆す、旨味とキレを両立させた新しい姿でした。
今回はこの限定酒を造る、武田杜氏へのインタビューを元に商品の魅力を紹介させていただきます。
目指すは「究極の食中酒」
「本来日本酒とは食と寄り添う食中酒である」という考えから、米本来の旨味を引き出した上で、時代やニーズに沿う個性を持ちながらも、酒が主張しすぎない後口がキレイな食と寄り添える日本酒造りを目指したい。」
そう語った武田杜氏の得意とする酒質は、主に協会9号で造る高日本酒度のお酒(超辛口タイプ)や香り系の大吟醸。今回紹介する、純米酒「超久」超辛はその代表的な商品と言えます。
そもそも、元々の「超久」はヘビータイプの甘めなお酒。
武田杜氏が造り始めてから少しずつ、特徴である米の旨味はそのままに、後口が軽快なキレのいい酒に変えようとしているとのこと。
そして、もう一つの違いは“熟成しなくとも新酒でバランスよく飲めるお酒”という点。元が熟成をかけてもフレッシュな「超久」だったからこそ、この発想が生まれたのです。
誕生秘話と杜氏が勧める飲み方・ペアリング
・純米吟醸「超久」南阿蘇村産自然栽培山田錦
当商品が生まれるきっかけは、武田杜氏が福岡にある鮨屋の大将の紹介で、熊本県南阿蘇村で自然栽培の山田錦を育てる農家さんと出会ったこと。南阿蘇の水や自然を愛する心意気に惚れ込み、お米を分けていただくことになりました。
肥料を与えていないため、低タンパクの米となり、出来上がるお酒もアミノ酸の少ないきれいな酒質になります。飲み口はすっきり、すいすい飲めるお酒です。
おすすめの温度帯は5~40度、特に冷やかぬる燗がおすすめです。
出汁の利いた煮物や魚ちり、蒸し鶏など、やさしい味わいの料理との相性が抜群です。
・純米酒「超久」超辛
当商品は偶然生まれました。1本分の仕込みタンクの使用用途がなくなり、武田杜氏が造りなれていた辛口を仕込んだのがきっかけ。それまで中野BCには日本酒度の低い、甘めのお酒が多く、高日本酒度のものが無かったため、今までにない武田杜氏の代表的な商品となりました。
数値上、+18と超辛口ですが、ただ辛い酒ではなく米の旨味を感じることから、ふくらみのある優しい味わいとなります。米の旨味と高日本酒度のキレの良さを同時に楽しめます。
おすすめの温度帯は5~50度、冷やまたは燗冷ましがおすすめです。
肉料理、焼き鳥、赤身・脂ののったお刺身など、味の濃いお料理でも抜群のキレで締めてくれます。もちろん、あっさりとしたお料理で旨味を感じるのもおすすめ。
・純米吟醸「超久」活性うすにごり生酒
当商品は、中野BC社長たっての希望から生まれました。しかし耐圧瓶やそれに伴う設備がない為、敢えて吹きこぼれる可能性が少なくなるよう、控えめな活性に抑えてあります。
酵母から出される炭酸ガスは泡がきめ細やかで、刺激的ではなく口の中で柔らかなあたりとして爽やかさを届けてくれます。また、少し熟成のかかった今こそ、イチゴのようなフルーティーな香りと軽快な飲み口を楽しめます。
おすすめの温度帯は5~15度、よく冷やしてお飲みください。
スパークリングワインのように、香りや味わいを楽しみながら食前酒として、また前菜と合わせてお飲みいただくのがおすすめです。
おわりに
新杜氏になり大きく変わり始めた中野BCの「超久」シリーズ。
長年愛されてきた味をベースに、これからさらなる挑戦を続けていきます。
“究極の食中酒”の見届け人として、皆様もご協力をお願いします。
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by 家飲み編集部