馬追蒸溜所|北海道発ジャパニーズウイスキーの新星
酒蔵を知ろう!馬追蒸溜所(まおいじょうりゅうじょ)は、北海道夕張郡長沼町にて、2022年より蒸留を開始した新しい蒸留所です。
国産素材、特に北海道産の原料を積極的に採用したウイスキーやブランデーの製造は、既に国内外より注目を集めています。
またワイナリーを前身としており、これまでよりも更に品質の向上を図りながらワインの醸造も行っています。
いま世界中で「日本ワイン」「ジャパニーズウイスキー」が大きな注目を集める中、特に日本の美しい自然が残る北海道ならではの、コストよりもクオリティ重視した酒造りが馬追蒸溜所の魅力の一つです。
この記事では、そんな馬追蒸溜所について簡単に解説いたします。
●馬追蒸溜所とは
馬追蒸溜所の歴史は2006年、北海道夕張郡長沼町に「マオイワイナリー」という小さなワイナリーが誕生することから始まります。
その後2017年には「マオイ自由の丘ワイナリー」と名を変え、約15haの牧草地を開拓。
2021年の末頃からはウイスキーやブランデーの製造も行う「馬追蒸溜所」と社名を変更し、始動しました。
酒類の製造には北海道の素材を積極的に採用。
ウイスキーにおいても、多くの新しい蒸留所が輸入原酒を使用したブレンデッドを製造する中、馬追蒸溜所では自社の製造にこだわり、原酒の輸入を行っていません。
またカスクも海外製に頼らず、北海道産のミズナラなどを使った国産樽での熟成を積極的に行っています。
北海道テロワールに通ずるウイスキー造りを意識した取り組みです。
「ジャパニーズウイスキー」と銘打つには国内で最低3年間以上の熟成期間が必要となりますが、熟成前の原酒である「ニューポット」も大きな評判を呼んでおり、本格ウイスキーの完成が待たれます。(2024年5月現在)
●蒸留所の特徴
北海道素材の他にも、馬追蒸溜所には様々な特徴があります。
蒸留酒を製造するに際し、新たに投入された蒸留器はスコットランド「フォーサイス社」製ハイブリット式蒸溜器。
フォーサイス社は、ウイスキーの本場スコットランドにおいて、かつて2件しかなかった蒸留器メーカーの内の1件。現在では最も有名なスチールポットの製造メーカーとして知られています。
馬追蒸溜所で採用された蒸留器は特に小型です。小さな蒸留器の特徴である濃縮感のあるリッチな原酒製造が可能となります。
また話題となっているのが核シェルター内での熟成。
核シェルター内は気温が低く、湿度も安定しており、いわゆる“天使の分け前”と呼ばれる貯蔵中の蒸発が最小限に抑えられます。
熟成樽が小さいのも、馬追蒸溜所の熟成の特徴。
小さな樽を使用することで手間とコストはかかるものの、熟成が効率的に行われます。
決して話題性先行ではなく、質実兼ね備えた核シェルター熟成という唯一無二のウイスキーには大きな可能性が秘められています
●馬追という土地
蒸溜所があるのは石狩平野を一望できる北海道 夕張郡 長沼町 加賀団体(かがだんたい)。
札幌から車で約一時間の場所にあり、近くにはゴルフコースや牧場のある、とても展望が良く長閑なエリアです。
「馬追」とはアイヌ語の「マウ・オ・イ=ハマナスの実のあるところ」という言葉に由来し、夕張郡長沼町東部から全長約50kmに及ぶ「馬追丘陵」のことを指します。なだらかで南北に長い広大な馬追丘陵は畑作や酪農も盛んです。
北海道の水、空気、木材や農作物。大自然を詰め込んだお酒の製造を行う馬追蒸溜所。
この景色から、近い将来ジャパニーズウイスキーを語る上でも外せないウイスキーが誕生します。
●馬追蒸溜所のお酒
・ウイスキー
樽熟成前のニューポットウイスキー。北海道モルトを100%使用した特別なシングルモルト原酒。
アルコール度数に比べ、飲み口のスムーズさには原料の品質を感じ取ることが出来ます。
熟成前のウイスキーがこんなに美味しいものかと感動する1本。
・ブランデー
【メタモルフォシス アップルブランデー PXシェリーカスクエイジド】
甘口のシェリー樽で後熟を施したアップルブランデー
リンゴはもちろん北海道産のものを使用しており、そのフルーティーな香りはリンゴそのもの。
寝る前にゆったりと楽しんでほしいゴージャスな1本。
・ワイン
社名や業態の変更に合わせ、さらに改良をしてリスタートしたMAOIワイン。
こちらも近年品質が向上している北海道産のブドウを贅沢に使用しています。
キャンベルの王道赤ワイン
愛好家の多いオレンジワイン
大人気のにごり白ワイン
【MAOI ツヴァイゲルトレーベ2023 バーボンバレル・エイジド】
バーボン樽熟成のスペシャルワイン
・シードル
長沼産のスッキリシードル
・フレーバードワイン
甘味と辛み、香りが絶妙
流行に囚われず、じっくりと質の良いお酒を造っている馬追蒸溜所。
美味しいお酒と共に、この蒸留所の成長を見守るのは、お酒飲みとして最高の贅沢かもしれません。
WRITERこの記事を書いた人
-
CATEGORIES
-
TAGS