郷土料理 東北編

日本酒を知ろう!
郷土料理 東北編
家飲み編集部

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青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の6県からなる東北地方。多くの地域が1年のうち1/3程度を雪で覆われるため、食材を塩蔵して長期間保存させ、また、体温を維持するために、昔から塩分の濃い料理を食してきました。蔵王山脈を中心に東西で気候が異なり、日本海と太平洋の両方に豊かな漁場を有します。特に、世界有数のリアス式海岸である三陸海岸は、漁獲される魚の種類・量ともに豊富。また、日本の米どころとも呼ばれる通り、東北の米の生産量は全国の約 27%と最大で、有名なひとめぼれやあきたこまち、つや姫などは、東北で開発された品種です。

各県で栽培されている主な酒造好適米は、華吹雪(青森)、吟ぎんが(岩手)、蔵の華(宮城)、秋田酒こまち・美山錦(秋田)、出羽燦々(山形)、五百万石(福島)。全国で 4 番目に酒蔵が多い福島をはじめ、東北全体で 241軒の蔵があります。

漬け物・珍味

●イカニンジン(福島)

細切りにしたスルメとニンジンを醤油、日本酒等で漬けたもの。初冬に出回る長ニンジンを使い、保存食として作られていたが、現在は年間を通して食べられている。また、北海道の松前漬けの影響から、昆布や数の子を入れたものも見られるようになった。

()寿司(ずし)(青森)  

なれずしの一種。塩漬けした魚、キャベツやニンジン、大根、 生姜等の野菜や山菜、米、米麹を重ね、発酵させる。魚のバリエー ションは、ハタハタ、鮭、ニシン、ホッケなど。元々は冬の保存 食として作られていた。飯寿司または(いお)寿司(ずし)がなまって「いずし」 と呼ぶようになったとされている。

●いぶりがっこ(秋田)  

がっこは秋田の方言で漬け物の意。元々はいぶり漬けと言われていたが、地元メーカーの商品名のいぶりがっこが一般名称 として定着した。たくあんと同様に米ヌカや塩に漬けるが、秋田 では積雪が多くて日照時間が少なく、大根を早く乾燥させるため に囲炉裏の上に吊るしていぶす方法が考案された。近年ではニ ンジンを使ったものも流通。

●笹かまぼこ(宮城)  

元々、キチジやヒラメ等の白身魚のすり身を手のひらでたたき、 焼いて保存していたものが現在の形になったとされる。仙台藩 主伊達家の家紋「竹の雀」に描かれている笹にちなんで名づけられた。

●しそ巻き(宮城)  

青しそで味噌を包み、揚げ焼きにする。味噌の味つけは甘い ものから辛いものまであり、ピーナッツやクルミ、ゴマ、七味唐 辛子を加えたもの、うるち米粉やもち米粉でねっとりとした質感 にしたタイプ、揚げずに鉄板で焼くなど多彩。岩手や山形、福 島でも作られている。

●だし(山形)  

粗いみじん切りにしたキュウリやナス、ミョウガ、生姜等を醤 油やカツオ節で味つけ。オクラや納豆昆布で粘りを出したものもある。ご飯にのせるのが一般的で、豆腐や蕎麦の薬味としても食される。古くから家庭料理として親しまれてきたが、1980(昭和 55) 年頃に地元メーカーが商品化。別のメーカーが「山形のだ し」として商標登録を取っている。

●にしんの山椒漬け(福島)  

身欠きにしんと山椒の葉を重ね、醤油や酢等に漬ける。山間 部の会津地方で、身欠きにしんの保存性を高めるために作られるようになった。酒の肴として親しまれている。会津本郷町では、にしんの山椒漬けを作るのに使われるにしん鉢が名産の会津本 郷焼で作られており、古くから嫁入り道具の一つにされていた。

●ハタハタ寿司(秋田)  

炊いて麹を混ぜた白米、野菜、昆布等とハタハタの塩漬けを 交互に重ね、重しをし、3 週間程度漬けて発酵させた、なれずし。冬に獲れるハタハタの長期間保存として作られ、江戸時代 から食されており、元禄期の出版物『日本諸国名物尽』に登場している。ハタハタを一尾まるごと使う「一匹寿司」、頭を落と した「全寿司(まるずし)」、切り身にした「切り寿司」がある。柚子やレモン で香りづけしたタイプも。

●棒ダラ煮(山形)  

真ダラの干物、棒ダラを砂糖、醤油、日本酒、みりん等で甘 辛く煮る。主にお盆や祭りの際に食される。棒ダラは鮮魚が手に入りづらい内陸部で、古くからタンパク源として重宝されていた。エイヒレの軟骨の干物で作る「からかい煮」もある。

焼き物

●牛タン焼き(宮城)  

仙台の焼き鳥屋が、他店との差別化として専門店を出店したのが始まり。牛舌をやや厚切りにし、塩かタレで味つけして焼く。 タレは塩味や味噌、辛子味噌などがあり、牛舌を味噌漬けした タイプもある。牛尾のスープ、白飯または麦とろご飯と共に提供 する定食スタイルが一般的。

●十和田バラ焼き(青森)  

牛バラ肉とタマネギに醤油ベースの甘辛いタレをからめ、鉄板で炒める。60年ほど前、三沢市にある米軍基地からの払い 下げとして安価で流通していた牛バラ肉を生かして地元の食堂が提供したのが始まりで、隣の十和田市の飲食店でも作られるようになり、浸透した。

●ホタテの貝焼き味噌(青森)  

帆立貝の殻を鍋代わりにし、魚介やだし汁、味噌、溶き卵等 を入れて焼いた料理。陸奥地方では妊婦や風邪を引いた人のための栄養食、下北地方では漁師料理として親しまれてきた。殻 は使い込むほど味が出るとされている。

汁・鍋・煮物

●あざら(宮城)  

メヌケのアラと白菜の古漬けを具にした粕汁。主に気仙沼で食される。発祥は、白菜の処理に家庭で考案された、または 旧正月に残り物を煮て作られたと言われている。名前の起源も、 阿闍(あじゃ)()と呼ばれる位の高い僧が作った精進料理に由来する、調理法があじゃら(荒い)であるため等、諸説ある。

●いちご煮(青森)  

ウニとアワビを具にした潮汁。乳白色を帯びた汁の中に黄金 色のウニが見える様が、朝靄にかすむ野イチゴのようであることから名がついた。漁師料理だったが、現在は正月や祝い事といったハレの日に欠かせない料理となっている。八戸市を中心に、 隣接する岩手県でも食べられている。

●いも煮(山形)  

里芋をはじめとする野菜、コンニャク、キノコなどを具にした 鍋料理。庄内地方は豚肉入りの味噌味、内陸部は牛肉入りの醤 油味など、地域によってさまざまなレシピが存在する。発祥は、 江戸時代に最上川で荷物を船にのせる作業をしていた人が里芋 と干しダラを煮て食べたという説と、芋名月と呼ばれる旧暦の8月の十五夜に里芋をお供えした風習から生まれたという説がある。収穫の祝いや地域交流のため、屋外で大鍋を囲んで芋煮 を食べる芋煮会は、300年ほど前から行われている。

●かやき(秋田)  

帆立貝の殻を鍋にしてさまざまな具を煮込んだ料理で、貝焼 きがなまってかやきと呼ばれるようになった。漁師が魚介を調理したのが始まりで、現在は魚介の他に肉や野菜、山菜などを具とし、煮汁はだし汁や味噌、醤油等で味つけされている。鍋を使ってクジラや野菜を味噌味の煮汁で煮て溶き卵をかけた「クジラかやき」もある。

●きりたんぽ鍋(秋田)  

だし汁で鶏肉やセリ、ゴボウ、きりたんぽを煮る。きりたん ぽは、かために炊いてつぶした白飯を木の棒に巻いてちくわ状にし、表面を焼いたもの。県北の大館・鹿角地域の猟師が保存の利く携行食として作っていたのが発祥。槍の稽古に使われる 短 たんほやり 穂槍に形が似ていることから名がついた。味噌をつけて焼いたきりたんぽ単体で食べることもある。

●けいらん(青森)  

もち米で作った団子に小豆の餡を詰めたものを、昆布やシイタ ケで取っただし汁に浮かべる。団子の色や形が鶏卵に似ている ことが名の由来。室町時代に京都で精進料理として食べられて いたものが、江戸時代に上方文化と共に南部藩へと伝わったと される。収穫祝いに供されていたが、現在は冠婚葬祭で食され、 慶事では団子が紅白に、弔事では小ぶりになったり緑に着色されたりする。下北地方を中心に、秋田県や岩手県の一部の地域 でも親しまれている。

●けの汁(青森)

「け」は粥の意。根菜や山菜、コンニャク、油揚げ、凍み豆腐 等を細かく刻み、醤油や味噌で味つけしただし汁で粥のように やわらかくなるまで煮ることから名がついた。1 月 16 日の小正月 に無病息災を祈って食された料理で、この日は女性がくつろげるよう、大鍋で仕込んで作り置きするのが一般的だった。

●鯉のうま煮(山形)  

鯉を醤油や砂糖、みりんで甘辛く煮たもの。江戸時代に米沢 藩9代目藩主の上杉鷹山が、領民のタンパク源確保のために鯉の養殖を開始し、この料理が生まれた。

●こづゆ(福島)  

帆立貝の貝柱のだし汁で、豆麩、ニンジン、シイタケ、里芋、 糸コンニャク、キクラゲ等を煮たもの。小吸物から変化してこづゆと呼ばれるようになった。会津名物で、平野部では貝柱、山間部ではスルメが具に使われる。具の種類は縁起が良い奇数にし、会津塗の椀で供するのが習わし。また、現地ではこづゆと一緒に日本酒を飲むことが多い。江戸時代後期から明治時代初 期に武家料理として広まり、当時からもてなしの象徴として、何杯おかわりしても失礼にならないとされている。

●生姜味噌おでん(青森)  

生姜のすりおろし入りの味噌ダレをかけたおでんで、青森市ではおでんと言えばこのスタイルを指す。戦後、闇市にあった屋台が、青函連絡船の乗客のために体が温まるようにと提供したのが発祥とされる。

●しょっつる鍋(秋田)  

ハタハタの魚醤、しょっつるで味つけした鍋料理。昔は帆 立貝の殻を鍋代わりにしたかやきとして供されていたことから、 「しょっつるかやき」とも呼ばれる。具はハタハタや真ダラ等の 白身魚、野菜、豆腐など。

●せんべい汁(青森)  

鶏や豚で取っただし汁で野菜、キノコ等を煮て、南部せんべいを割り入れる。南部せんべいは小麦粉と塩が原料。八戸藩が 非常食として作ったもので、天保の大飢饉の際に、保存性が高い南部せんべいを使った料理としてせんべい汁が誕生したとされる。せんべい汁には煮込んでも溶けにくいように作られた、か やきせんべいが使われる。

●玉こんにゃく(山形)  

山形独自の、丸い形をしたコンニャクを使用。スルメのだし汁 と醤油で煮たものを串に 3〜4個刺して供され、辛子をつけて食べる。祭り屋台の定番メニュー。

●どぶ汁(福島)  

アンコウの肝と味噌を鍋で炒め、日本酒を注いでアンコウの 身や七つ道具、野菜を煮込む。元々は水がない船上で作られていた漁師料理で、アンコウ鍋の元になった料理とされる。煮汁がどぶろくのように見えることから名がついた。いわき市を中心とする南部の他、茨城県の沿岸地域でも食べられている。

●はっと汁(宮城)  

はっとは、小麦粉に水を加えて練り、薄く伸ばしてちぎった もの。これを野菜と共にだし汁で煮込む。「つゆはっと」とも呼ばれる。名の由来は、あまりの美味しさに農民が米を作らなく なるのを恐れた殿様が御法度にした、ほうとうまたは平安時代 の菓子のはっとんがなまった等、諸説ある。登米地方では名産 の油麩も具にすることが多い。岩手県では同様の料理が、手でちぎることを意味する方言「ひっつみ」の名で親しまれている。

●まめぶ汁(岩手)  

小麦粉の生地でクルミや黒砂糖を包んだ団子のまめぶと、小さく切ったニンジンやゴボウ、かんぴょう、干しシイタケなどをだし汁で煮込む。まめぶの名は、豆粒大に作ることに由来。久慈 市山形町に伝わり、まめまめしく健康に暮らせるようにという願いを込めて、正月やお盆等の行事食として供されることが多い。

飯・丼

●仙台づけ丼(宮城)  

醤油ベースのタレに漬けた白身魚を、酢飯にのせた丼。大分 のアジの漬け丼からヒントを得て東北大学大学院の堀切川一男 教授が考案し、仙台寿司業組合が 2009 年に新たな宮城名物として商品化した。東日本大震災後の復興を後押しするため、提 供店が増えている。地元産の魚と米が使われ、魚種はヒラメ、 カレイ、スズキ、真鯛等。

●わっぱ飯(福島)  

だし汁で炊いたご飯を曲げわっぱに詰め、甘辛く煮た山菜、 シイタケ、レンコン、鮭などをのせて蒸す。山仕事の際の食事に 曲げわっぱの弁当箱を使う風習がある会津で古くから食べられ ている。

麺類

●稲庭うどん(秋田)  

手延べ製法で作られた細めの干しうどん。湯沢市稲庭町の 名産で、日本三大うどんの一つ。コシが強く、喉越しが良い。 1665(寛文5)年に稲庭吉左衛門がその製法を確立したと言われるが、起源は諸説ある。当初は高級品で、秋田藩が諸藩への贈答品として用いていた。

●かっけ(岩手)  

かっけは欠片、端っこの意。南部藩の殿様が麺料理の蕎麦を食べ、あまりの美味しさに庶民が食すことを禁じたため、庶民が切れ端を食べたのが始まりとされる。蕎麦または小麦の粉を 水で練って伸ばし、三角形に切った生地をゆでたもので、ニン ニク味噌やネギ味噌をつけて食べる。

●冷やしラーメン(山形)  

山形市の蕎麦屋が常連客の要望を受け、夏でも食べやすい ラーメンとして 1952(昭和27)年に考案した。昆布やカツオ節、 牛骨で取ってゴマ油で味つけした醤油味の冷たいスープに、太めの中華麺とキュウリやメンマ、牛のチャーシュー等の具、氷が浮かんでいる。

●盛岡じゃじゃ麺(岩手)  

平たいうどんのような麺に肉味噌やキュウリ、長ネギ等をのせたもので、好みで生姜やニンニクのすりおろし、ラー油をかけて食べる。また、麺を食べ終わったら肉味噌を追加し、生卵と麺 のゆで汁を入れてかき混ぜた鶏チータンタン蛋湯を飲むのが一般的。戦後に満州から帰国した日本人が、現地の炸 ジャージャーメン醤麺をアレンジして屋台で 提供したのが始まり。

●盛岡冷麺(岩手)

 

小麦粉や片栗粉等のでんぷんから作られたコシのある麺、牛や鶏で取ったさっぱりとしたスープ、スイカやリンゴ、ナシ等の フルーツやキムチ、ゆで卵といった具の組み合わせが一般的。 朝鮮半島の冷麺を参考にし、盛岡の焼肉店が1954(昭和 29)年に考案した。

●横手やきそば(秋田)

 ストレートの太麺を使ったソース焼きそばに、目玉焼きと福神漬けを添える。ソースは甘めで、具はキャベツや豚の挽き肉を使うのが一般的。店によってはホルモンを加える場合もある。1950(昭和25)年頃、横手の焼きそば店と製麺業者が開発した。

●わんこ蕎麦(岩手)

 大勢の来客時に、つゆにくぐらせた一口ずつの蕎麦を椀に盛って運んだ蕎麦振る舞いの風習からきたとされる。お給仕さんが「じゃんじゃん」というかけ声と共に椀に入れ、フタをするまで追加し続けるのが観光名物だが、宴会の締めに少量の蕎麦を出す風習も残っている。盛岡じゃじゃ麺、盛岡冷麺とともに盛岡三大麺と呼ばれ、花巻の蕎麦屋でも提供されている。平泉では、一口分ずつ盛られた椀を盆に並べ、別の椀に移して食べる「盛り出し式」が一般的。

「FBOもてなしびと 郷土料理東北編2019年8月号」より引用 

https://ienomi.tokyo/column/%e9%83%b7%e5%9c%9f%e6%96%99%e7%90%86-%e6%9d%b1%e5%8c%97%e7%b7%a8/

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お酒が大好きなライター、アーティスト、編集者、イベンター、フードジャーナリスト、リカーショップスタッフなどなど、お酒を愛して止まない「イエノミスタ」が結成した「家飲み編集部」。それぞれの家飲みの風景や、お酒のセレクト、おつまりレシピなどをご紹介します!... もっとみる