先入観なしで飲んでほしい! 8th Oceanシリーズ

わたしの家飲みスタイル 今夜のおつまみ 飲んでみた!おすすめ日本酒レポート
先入観なしで飲んでほしい! 8th Oceanシリーズ
あおい 有紀

和酒コーディネーター・酒サムライ

あおい 有紀

皆さん、家飲み楽しんでいますか?!  今年は特に、一年過ぎるのが早く感じますね…。10月に入り、カレンダーも残り2枚!! ということで、このところ気温もぐっと下がり、一気に秋めいてまいりました。

今回ご紹介するのは、滋賀県湖南市にある「北島」醸造元、北島酒造の日本酒です。

海林堂のオリジナルブランドとして、3種類販売されていますよ。

8th Ocean(エイスオーシャン)、とは?!

「世界には7つの海がありますが、8つ目の海があるとしたら、それはさまざまなことが実現できる夢と理想の海。そんな架空の海をシリーズ名につけました」とのこと。日本酒を全く知らない方にも分かりやすい味わい、そして覚えやすいお酒、がコンセプトです。

3本シリーズでまったく味わいの違う日本酒ですが、あえて精米歩合や製法については表記していません。難しいことは考えず感じたままに楽しんで欲しい、という狙いもあり、誰にでも味わいの違いが分かりやすいよう設計されています。

エンジョイ、リンク、タッチ、それぞれの日本酒を飲み比べ

まずは緑ラベルの「エンジョイ」から。ミルク飴のような色合いのにごり酒で、きめ細やかで濃厚なとろみがあります。原料の米の風味がしっかり感じられ、甘酒のような麹の香り、またヨーグルトのような乳酸の甘酸っぱい香りが広がりますね。口当たりは、とてもなめらかでとろとろクリーミー、まさに米の液体をいただいている!!というくらい濃厚。甘味もありますが、余韻の苦みが心地よく、バランスの良さを感じます。

このお酒には、シャインマスカットとくるみの白和えを合わせてみたくなりました。旬のシャインマスカットのフレッシュでジューシーな果汁と合わさり、甘味が増しながら、皮の酸味があとから効いてきてバランス良し。さらに、くるみのナッティさと、にごり酒の米感がコクとなり、白和えの上品な出汁の旨味と相まって口内調味が完成!白和えの優しい味わいに日本酒を合わせることで、ぐっと深みが出ますよ。

次に青ラベルのタッチを。ドライフルーツのパイナップルやアプリコットのような、凝縮され熟した甘い香りが広がります。ヨーグルトのような乳酸や、香ばしい穀物の香りも感じられますね。いただいてみると、かなりボディがあり酸味もしっかり、燻製されたチーズのようなニュアンスも感じられます。後半には苦み、そして酸味が長く続いていきますね…。

このお酒には、ミートソースに少し味噌を入れて、じゃがいも、秋茄子、チーズを重ねて焼いてみました。日本酒は常温でもいいですが、55度くらいの熱燗にしたところ、これがぴったり!!しっかりした骨格に仕上げてあるので、温度をかなり上げても、お酒の味わいが全くへこたれません。熱燗にすることでより旨味が凝縮、酸味がしっかり感じられるので、トマトソースの酸味と相まってコクが増し、一体化!焼いたチーズの香ばしさと、日本酒の香ばしい穀物感とも相性がよく、旨味の相乗効果が楽しめます。

最後に、赤ラベルの「リンクをいただきました。香りはとても穏やかで上新粉やハーブの香りがふわっと広がります。とろりとした口当たりで甘味が優しく広がりますが、後半に酸味や苦味もしっかり出てきてジューシーさも感じられます。アルコール添加をしているので、19度あるとは思えないくらい飲みやすく軽やかさもあり、キレの良さが秀逸。

こちらのお酒には秋の代表的な食材、さつまいもと鶏肉の甘煮を合わせてみました。黒酢をかなり効かせるのがポイント。料理とお酒の酸味同士が重なり合い、コクが倍増、また、さつまいもの甘味が日本酒の柔らかな甘味ともマッチ!鶏肉の旨味もより引き立ちますね。このままでも十分美味しいのですが、ちょうど家にあったフレッシュハーブのセージをふりかけてみたところ、爽やかさがプラスされて、味わいがより立体的になりました。ペアリングを考える際、ハーブやスパイスがいい仕事をしてくれるので、ご自宅にあるもので色々試してみるのもお勧めです!

三者三様でそれぞれに個性際立つお酒達、その日の気分や合わせる料理によって、選ぶ楽しみが広がりますね。ぜひ家飲みのお供に、8th Oceanで新たな世界への扉を開けるべく、大海原に乗り出してみてはいかがでしょう。

WRITER あおい 有紀さんのオススメ

この記事で紹介したアイテム

https://ienomi.tokyo/column/8th-ocean/

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あおい 有紀

和酒コーディネーター・酒サムライ

あおい 有紀

フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオなど各媒体で活躍する一方、日本の食や和酒の魅力発信を積極的に行い、大切さ、楽しみ方を伝えている。フィールドワークを信条とし、全国の田んぼや酒蔵に300回以上足を運ぶ。酒蔵ツアー、日本文化×日本酒のコラボイベント、様々な国籍の料理×日本酒のペアリングディナーなどの企画・主催をはじめ、... もっとみる