嘉美心酒造 五代目蔵元
藤井進彦
嘉美心酒造の歴史と命名
瀬戸内海沿いの小さな町、岡山県浅口市寄島町にある嘉美心酒造は大正2年(1913年)に初代・藤井長十郎によって創業された比較的新しい蔵元です。創業当初は「長久正宗」という銘柄を名乗っていました。現在の銘柄名“嘉美心”は二代目・松三郎により命名されました。彼は並々ならぬ酒造りへの情熱と共に、また信心深く「身も心も清らかにして御酒を醸したい」との願いから「神心」と同音の言葉を選んだものと伝えられています。町内の大浦神社には信仰心の篤い松三郎が誘致した酒の神様と称される京都の松尾大社の分社が現存しています。
嘉美心酒造の理念
嘉美心酒造では「お客様の口に入るまでが酒造り」と考えています。
現代の「大量生産・大量消費」の世の中では私たち蔵の力は小さいものです。
が、私たちの蔵では、作る者の「原点」はどうあるべきか、を常に考え続けています。
それは何か、と申しますと『作る私たちも消費者である』ということです。より一層の「食の安全性」が求められる時代となりました。今こそ、「原点」に立ち返り、『私たちはお酒を作ることではメーカーですが、生きる上では消費者です。だから家族の口に入れさせたくないものは作りません。』という“嘉美心の誓い”のもと、大吟醸から普通酒まで、そのほとんどを蔵人の手造りによる小ロット生産、そして小ロット貯蔵に努めております。
また、今から45年以上も昔から全国の中小の酒蔵に先駆けて「きれいな空気を作りだして仕込みを行なうシステム」や「蔵全体を冷やしての貯蔵システム」を開発しました。
(↑藤井社長が嘉美心酒造を紹介しています!)
嘉美心酒造のお酒の特徴
岡山県は全国でも有数の穀倉地帯です。主要な酒造好適米(山田錦、雄町)の生産量は全国でもトップシェア。特に雄町米は全国の90%もの生産量を誇っています。嘉美心酒造も地元の農家と手を組み契約栽培に取り組んでいます。元来、備中流の酒造りは米不足の時代も含めて原料米を酒造りにふんだんに使うことで全国に名を馳せてきた杜氏集団です。その中で嘉美心酒造は酒造好適米だけにこだわらず、一般米の酒造特性にも早くから注目し、地元ならではの味わいを大切にするテロワールの考えも大事、との考えから「アケボノ」「アキヒカリ」などの食用米の活用にも力を注いでおります。嘉美心酒造はこのようにこれまでの常識にとらわれず、未知の魅力に満ち溢れた原料米を、“ふんだんに使う”備中杜氏の源流を汲んでおり、「米本来の旨味」を引き出す事が最大の特徴の蔵元です。
KAIRINDOについて
今回ご紹介させて頂く「KAIRINDO」はアルコール8%という低アルコールの純米酒です。
米・米麹を原料としているため税法上「清酒」に分類されますが、「独特な甘酸っぱさ」「爽やかな酸味」「8%と低アルコールタイプながら重厚なフルボディ」など、日本酒の範疇を超えたユニークな酒質は多くの日本酒ファンの心もとらえ老若男女問わず愛し続けられております。百貨店等での店頭試飲会で、黙ってお客様に提供すると「これって何処のワインですか?」という声がよく上がります。皆様方も是非、ワイングラスにてお楽しみ下さい。今は海外の人気Youtuberさんの後押しも加わり、アジアを中心に人気沸騰中! 国内だけに留まらず海外での人気も高まりつつあります。恐らく来年には国内需要を上回るような勢いです。
様々なシーンに適応
・食前酒として…爽やかな酸味と独特の甘酸っぱさは、口中の唾液を誘発し、食欲を増進させます。コース料理の導入酒としてご提供頂ければその力をいかんなく発揮します。
・食中酒としてのお肉料理との相性…従来の日本酒にない力強い味わいはソースやタレなどを多用した料理にも負けません。特に脂っこいお肉料理との相性は良く、口中を爽やかに戻してくれます。多国籍料理には欠かせないアイテムです。また、和食のカテゴリーでは鰻の蒲焼きなどとの相性も抜群です。
・デザート酒として…2次会、3次会などの軽い飲食の場面でも力を発揮します。またチーズとの相性も是非お試し下さい。特にゴルゴンゾーラとの相性は抜群で口中で絶妙なハーモニーを奏でます。
・ナイトキャップとして…お休み前の軽い一杯は、あなたの身体の緊張をほぐし、安らかな眠りに誘導します。今日一日頑張ったご自身へのご褒美の酒としていかがでしょうか?
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嘉美心酒造 五代目蔵元
藤井進彦
1964年生まれ。岡山生まれの岡山育ち。幼少期より軟式テニス、硬式テニス、軟式野球とスポーツ系を歩むが長続きせず。大学時代は一転して管弦楽部に所属。平成元年、東京農業大学農学部醸造学科卒業、国税庁醸造試験所研修員、富久錦株式会社(兵庫県)などを経て1994年に嘉美心酒造株式会社に入社。冬期は蔵人と寝食を共にしながら酒造... もっとみる
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